オリーブ オイル用の品種を自宅で育てる!初心者でも失敗しない選び方とおすすめの種類

オリーブ オイル用の品種を自宅で育てる!初心者でも失敗しない選び方とおすすめの種類
オリーブ オイル用の品種を自宅で育てる!初心者でも失敗しない選び方とおすすめの種類
品種別の特徴・比較

自宅の庭やベランダで育てたオリーブから、自家製のオリーブオイルを搾ってみたいと考えたことはありませんか。新鮮な搾りたてのオイルは香りが非常に高く、市販のものとは一線を画す贅沢な味わいを楽しめます。しかし、オリーブには非常に多くの品種があり、どれを選んでも同じようにオイルが取れるわけではありません。

この記事では、オリーブ オイル用の品種を自宅で栽培したい方に向けて、オイル作りに適した品種の選び方や、初心者でも育てやすいおすすめの品種、そして豊作にするための管理のコツを詳しく解説します。これからオリーブ栽培を始める方はもちろん、すでに育てている方もぜひ参考にしてください。

自分自身の手で育て、収穫し、丁寧に搾り出したオイルは、食卓に格別な喜びを運んでくれます。理想の品種を見つけて、素敵なオリーブライフをスタートさせましょう。

  1. オリーブ オイル用の品種を自宅で選ぶ際に知っておきたい基礎知識
    1. オイル含有率(含油率)の高さに注目する
    2. 自宅の栽培環境(鉢植えか地植えか)に合わせる
    3. 自分の好みの風味(マイルドかスパイシーか)を知る
    4. 2種類以上の品種を組み合わせて育てる理由
  2. オイル用として定評のある自宅栽培におすすめの代表的品種
    1. スペイン原産の「アルベキーナ」は初心者向け
    2. イタリアの最高級オイル品種「フラントイオ」
    3. 含油率が高くフルーティーな「コラティーナ」
    4. 日本でも馴染み深い兼用種「ルッカ」
  3. 自宅で元気にオリーブを育てるための栽培環境と管理のコツ
    1. 日当たりと風通しの良い場所を確保する
    2. 水はけの良い土壌作りが成功の分かれ道
    3. 正しい水やりと肥料のタイミングを知る
    4. 剪定の基本と病害虫対策をマスターする
  4. 結実率を高めるための受粉の仕組みと相性の良い組み合わせ
    1. 自家不結実性を理解して多品種を混植する
    2. 開花時期が重なる品種を組み合わせる
    3. 受粉を助けるための配置と工夫
    4. 授粉樹としての定番品種「ネバディロ・ブランコ」
  5. 収穫から自家製オイルを搾るまでの具体的なステップ
    1. オイル用としての最適な収穫時期の見極め
    2. 収穫した実の鮮度を保つためのポイント
    3. 自宅でできる簡易的なオイル抽出方法
    4. 搾りたてオイルの保存方法と楽しみ方
  6. 自宅で楽しむオリーブ オイル用品種の育て方まとめ

オリーブ オイル用の品種を自宅で選ぶ際に知っておきたい基礎知識

オリーブを育てる目的が「オイルを搾ること」である場合、品種選びは非常に重要な要素となります。オリーブには世界中で1,000以上の品種があると言われていますが、大きく分けて「オイル用」「塩蔵(ピクルス)用」「兼用」の3つのタイプに分類されます。

自宅という限られたスペースで効率よくオイルを確保するためには、まずこの分類を理解し、オイル作りに適した特性を持つ個体を選ぶ必要があります。ここでは、具体的な選び方のポイントを深掘りしていきます。

オイル含有率(含油率)の高さに注目する

オリーブオイルを搾ることを目的とするなら、何よりも「含油率」を確認しましょう。含油率とは、果実の中にどれくらいの割合でオイルが含まれているかを示す数値です。一般的にオイル用の品種は、果実が完熟した状態で含油率が15%から25%程度に達します。

一方で、テーブルオリーブ(塩漬け)に適した品種は、果肉が厚く水分が多いものの、含油率が10%程度と低い場合があります。少ない収穫量から効率よくオイルを取り出すためには、含油率が20%を超えるような「オイル専用種」または「兼用種」を選ぶのが正解です。

自宅での栽培では、一度に何十キロもの実を収穫するのは難しいため、一粒から取れるオイルの量が多い品種を選ぶことが、自家製オイルを楽しむための近道となります。苗木を購入する際は、タグや説明書に「オイル向き」と記載されているかを確認しましょう。

自宅の栽培環境(鉢植えか地植えか)に合わせる

オリーブを育てる場所が、庭の広いスペースなのか、マンションのベランダなのかによっても適した品種は異なります。オリーブには、上に向かって伸びる「直立型」と、横に広がるように伸びる「開帳型」の樹形があります。

ベランダなどスペースが限られている場所で鉢植えにするなら、成長が比較的緩やかで、まとまりやすい直立型の品種が扱いやすいでしょう。逆に、庭に植えてシンボルツリーとしても楽しみたい場合は、存在感のある開帳型の品種を選ぶと、見栄えも良くなります。

また、品種によって耐寒性や耐暑性にも差があります。寒冷地で育てる場合は、寒さに強い品種を選ぶことが必須条件です。自宅の気候や設置スペースを考慮して、ストレスなく育つ品種を絞り込んでいくことが、長期間の栽培を成功させるポイントです。

自分の好みの風味(マイルドかスパイシーか)を知る

自家製オリーブオイルの最大の魅力は、市販品にはない独特の風味を楽しめることです。品種によって、搾り取れるオイルの味わいは驚くほど異なります。例えば、バナナのような甘い香りがするマイルドなものから、草を刈った直後のような青々しい香りとピリッとした辛みが特徴のものまで様々です。

サラダにそのままかけて楽しみたいならフルーティーでマイルドな品種、肉料理やパスタのアクセントにしたいならスパイシーな品種といったように、自分の食の好みに合わせて選ぶのがおすすめです。複数の品種をブレンドして、自分だけのオリジナルオイルを作るのも自宅栽培ならではの楽しみと言えます。

有名なオイル用品種であれば、インターネット等でそのオイルの味の傾向を調べることができます。まずは自分がどんな味のオイルを好むのかをイメージしてみましょう。それが、理想の苗木と出会うための第一歩になります。

2種類以上の品種を組み合わせて育てる理由

オリーブを自宅で育てる際に、最も注意しなければならないのが「受粉」の問題です。オリーブは自分の花粉では実をつけにくい「自家不結実性(じかふけつじつせい)」という性質を持っています。そのため、1本だけでは実がほとんどならず、オイルを搾るどころか収穫すらままならないことがあります。

確実に実を収穫してオイルを作るためには、異なる品種を2種類以上、近くに並べて育てることが必要不可欠です。このとき、開花時期が重なる品種同士を選ぶことが重要になります。1本で結実しやすいと言われる品種もありますが、それでも他品種が近くにある方が圧倒的に結実量は増えます。

もしスペースの都合で1本しか置けない場合は、同じ鉢に2種類の枝を接ぎ木したものを選ぶか、近所にオリーブを植えている家がないか探してみるのも手です。基本的には「オリーブはペアで育てるもの」と考えて、相性の良い2品種を選ぶようにしましょう。

オイル用として定評のある自宅栽培におすすめの代表的品種

ここからは、実際に自宅でオイル作りを目指す方にぜひ選んでほしい、代表的なオイル用品種を紹介します。これらは世界中のオイル生産地で愛されているだけでなく、日本の気候でも比較的育てやすく、家庭菜園向きの特性を持っています。

それぞれの品種が持つ「育てやすさ」「オイルの量」「味の特徴」を比較しながら、あなたの環境にぴったりの候補を探してみてください。複数の品種を組み合わせる際のヒントにもなるはずです。

スペイン原産の「アルベキーナ」は初心者向け

「アルベキーナ」は、スペインを代表するオイル用品種で、世界中で広く栽培されています。この品種の最大の特徴は、非常に小ぶりな実がたくさんなり、若木のうちから実をつけ始める「早生性(そうせいせい)」にあります。通常、オリーブは数年育てないと実がなりませんが、アルベキーナは成長が早く収穫までがスムーズです。

また、オリーブの中では珍しく「自家結実性」が比較的高いため、他の品種に比べて1本でも実がつきやすい傾向があります。もちろん、他品種を混ぜたほうが収穫量は増えますが、初心者の方にとっては非常に心強い特性です。樹形もコンパクトにまとまりやすいため、鉢植えでの栽培にも適しています。

搾り出されるオイルは、非常にフルーティーで甘みがあり、ナッツのようなコクが感じられるマイルドな味わいです。苦みや辛みが少ないため、オリーブオイル独特の刺激が苦手な方や、お子様がいる家庭でも使いやすい万能なオイルが取れます。家庭用オイルの最初の1本として、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。

イタリアの最高級オイル品種「フラントイオ」

イタリア・トスカーナ地方が原産の「フラントイオ」は、高品質なオイルが取れることで世界的に有名な品種です。名前の由来も、イタリア語で「オリーブ搾油所」を意味する「Frantoio」からきているほど、オイル作りに特化した存在です。含油率が非常に高く、効率よくオイルを搾ることができます。

成長が早く樹勢が強いため、地植えにすると立派な樹木に育ちます。葉の密度が高く、シルバーグリーンの美しい葉が茂るため、観賞価値も非常に高いのが特徴です。暑さには強いですが、極端な寒さには少し弱いため、冬場に氷点下が続く地域では鉢植えにして移動できるようにするなどの工夫が必要です。

フラントイオから取れるオイルは、ハーブのような爽やかな香りと、心地よい苦み・辛みがバランスよく調和した本格的な味わいです。パンにつけたり、焼き魚の仕上げにかけたりすると、その鮮烈な香りが料理を一層引き立ててくれます。自宅でプロ級のオイルを目指したい方には欠かせない品種です。

含油率が高くフルーティーな「コラティーナ」

イタリア南部プーリア州原産の「コラティーナ」は、数あるオリーブの中でもトップクラスの含油率を誇るオイル専用種です。実が熟すにつれて非常に多くのオイルを蓄えるため、少量の収穫でも満足のいく量のオイルが搾れる可能性が高いのが魅力です。

この品種は病害虫に強く、比較的タフな性質を持っています。樹形は開帳型になりやすく、剪定によって形を整えながら育てる楽しみがあります。また、環境の変化にも適応しやすいため、初めてオリーブを育てる方でもコツを掴めば順調に育てることができるでしょう。

コラティーナのオイルは、ポリフェノール含有量が非常に多く、非常に力強い味わいが特徴です。アーティチョークや青いトマトのようなフレッシュな香りと、喉にピリッとくる強い辛みがあり、「健康に良いオイルを食べている」という実感を強く得られます。健康志向の方や、個性的なオイルを好む方におすすめです。

日本でも馴染み深い兼用種「ルッカ」

「ルッカ」は、日本国内でも非常に広く流通している品種で、オイル用としても塩漬け用としても使える「兼用種」です。非常に樹勢が強く、病気や寒さにも耐性があるため、日本の気候に最も適した品種の一つと言われています。枝が横に広がりやすく、ふんわりとした柔らかい樹形が特徴です。

実は小ぶりですが、オイル含有量は20%を超え、非常に良質なオイルが取れます。豊産性(実がたくさんなる性質)が高いため、毎年安定した収穫が期待できるのも自宅栽培では嬉しいポイントです。葉の色が鮮やかで美しいため、庭木としての人気も非常に高く、入手もしやすい品種です。

オイルの風味は、非常にマイルドでクセがなく、どんな料理にも合わせやすいのが特徴です。香りは芳醇で、搾りたてのルッカオイルは驚くほど優しく上品な味がします。他のスパイシーな品種とブレンドする際のベースとしても優秀で、まさに「優等生」的な品種と言えるでしょう。

代表的なオイル用品種の比較表

品種名 原産国 オイルの風味 特徴
アルベキーナ スペイン フルーティー・甘い 成長が早く、1本でも実がつきやすい
フラントイオ イタリア 爽やか・スパイシー オイル品質が極めて高く、樹勢が強い
コラティーナ イタリア 濃厚・パンチがある 含油率が非常に高く、ポリフェノール豊富
ルッカ 不明(米など) マイルド・芳醇 寒さに強く、日本での栽培実績が豊富

自宅で元気にオリーブを育てるための栽培環境と管理のコツ

オイルを搾るためには、ただ木を育てるだけでなく、しっかりと「実を太らせる」ことが重要です。オリーブは比較的丈夫な植物ですが、実をつけるためにはいくつかの大切なポイントがあります。特に自宅栽培では、日々のちょっとした観察が大きな差となって現れます。

ここでは、オイル用オリーブの収穫量を増やすための基本的な栽培環境と、日々のメンテナンスについて解説します。適切な管理を行うことで、木は元気に育ち、オイルたっぷりの実を届けてくれるようになります。

日当たりと風通しの良い場所を確保する

オリーブは地中海沿岸が原産の植物であり、日光が大好きです。オイルをたくさん作るためには、光合成を活発に行わせる必要があるため、1日中日が当たる場所が理想的です。日照不足になると枝がひょろひょろと伸びてしまい、花付きが悪くなったり、実が途中で落ちてしまったりする原因となります。

また、風通しの良さも非常に重要です。空気が停滞する場所では、害虫が発生しやすくなったり、湿気がこもって根腐れを起こしたりするリスクが高まります。特に鉢植えの場合は、コンクリートに直置きせず、スタンドなどを使って底面の通気性を確保するのも有効です。

理想的なのは「南向きの、適度に風が抜ける場所」です。もし半日陰しか確保できない場合は、剪定をこまめに行って樹冠(枝葉の広がり)の内部まで光が届くように工夫しましょう。太陽の光は、オリーブの実を豊かに育てるための最高の栄養源です。

水はけの良い土壌作りが成功の分かれ道

オリーブ栽培において、最も失敗しやすいのが「根腐れ」です。オリーブは乾燥には比較的強い一方で、常に根が濡れている状態を嫌います。そのため、自宅の庭に植える場合も、鉢植えにする場合も、とにかく「水はけの良さ」を最優先に考えた土作りを行うことが大切です。

地植えの場合は、植え付け穴に腐葉土やパーライトを混ぜ込み、周囲より少し高く盛り土をした「高植え」にすると排水性が向上します。また、オリーブは酸性土壌を嫌うため、植え付けの1〜2週間前に苦土石灰(くどせっかい)を撒いて、土壌を弱アルカリ性に調整しておくことも忘れないでください。

鉢植えの場合は、市販の「オリーブ専用の土」を使うのが最も手軽で確実です。自分で配合する場合は、赤玉土をベースに、水はけを助ける軽石や川砂を適度に混ぜ合わせると良いでしょう。水がすっと引いていくような土の状態を保つことが、健康な根を育てる秘訣です。

正しい水やりと肥料のタイミングを知る

水やりは、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと与えるのが基本です。オリーブは乾燥に強いとはいえ、特に開花期から結実期にかけて水不足になると、実が大きく育ちません。「乾いたらたっぷり」というメリハリのある水やりを心がけてください。

肥料についても、オイルの質を左右する重要なポイントです。オリーブには年に3回、肥料を与えるのが一般的です。まず2月から3月に、春の成長を促す「元肥(もとごえ)」を与えます。次に6月、実を育てるための「追肥(ついひ)」を行い、最後に収穫を終えた10月から11月に、木の疲れを癒やす「お礼肥(おれいごえ)」を与えます。

オイル用を目的とする場合、窒素分が多すぎると枝葉ばかりが茂ってしまうため、リン酸やカリウムがバランスよく含まれた有機肥料を選ぶのがおすすめです。適切な栄養補給をすることで、果実の含油率も安定し、毎年安定した収穫が望めるようになります。

剪定の基本と病害虫対策をマスターする

オリーブの収穫量を増やすためには、定期的な「剪定」が欠かせません。オリーブは前年に伸びた枝に翌年実をつける性質があるため、古い枝を整理して新しい枝の発生を促す必要があります。また、込み合った枝を空かせることで、樹の内部まで光と風を通し、病害虫の発生を防ぐ効果もあります。

主な剪定時期は、休眠期にあたる2月から3月です。上に伸びすぎた枝や、内側に向かって伸びる枝などを根元から切り落とします。自宅栽培では、木のサイズを一定に保つための「切り戻し」も重要です。ハサミを入れるのは勇気がいりますが、思い切って手入れをすることが、翌年の豊かな収穫に繋がります。

また、オリーブの天敵である「オリーブアナアキゾウムシ」には注意が必要です。幹に穴をあけて内部を食い荒らし、最悪の場合は木を枯らしてしまいます。幹の根元に木くず(おがくずのようなもの)が落ちていないか定期的にチェックし、見つけたら早めに対処するようにしましょう。

知っておきたい!オリーブの「隔年結果」

オリーブには、1年おきに豊作と不作を繰り返す「隔年結果(かくねんけっか)」という性質があります。たくさん実をつけた翌年は、木の体力が消耗して収穫量が減ることがあります。これを防ぐためには、実がなりすぎた年に適度に「摘果(てきか)」をして、木の負担を分散させることが有効です。

結実率を高めるための受粉の仕組みと相性の良い組み合わせ

オリーブ栽培において、オイルを搾るだけの量を収穫するためには、効率的な受粉が不可欠です。前述した通り、オリーブは自分の花粉では実をつけにくいため、異なる品種を近くに置く必要があります。しかし、どの品種でも良いわけではなく、受粉を成功させるための「相性」が存在します。

ここでは、より確実に、より多くの実を収穫するために、受粉の仕組みと、一般的に相性が良いとされる組み合わせについて詳しく紹介します。自宅で2本目の苗木を選ぶ際の指針にしてみてください。

自家不結実性を理解して多品種を混植する

オリーブの花は、一つ一つの花に雄しべと雌しべがありますが、同じ株の花粉が付着しても受精が成立しにくい「自家不結実性」を持っています。これは、遺伝的多様性を保つための植物の生存戦略ですが、栽培者にとっては少し厄介な特性です。

そのため、自宅でオリーブを楽しむなら、必ず異なる遺伝子を持つ品種を2つ以上並べて育てる「混植(こんしょく)」が推奨されます。距離としては、数メートル以内、ベランダなら隣同士に置くのがベストです。花粉は風によって運ばれる「風媒花(ふうばいか)」なので、虫が来なくても風があれば受粉します。

最近では「1本でも実がなる」と謳われている品種もありますが、それらも他品種を近くに置いたほうが、結実の安定感と実のサイズが格段に向上します。オイル用品種をメインに据えつつ、受粉を助ける「パートナー」となる品種を慎重に選びましょう。

開花時期が重なる品種を組み合わせる

受粉を成功させるための最大のポイントは、それぞれの品種の「開花時期」が重なっていることです。どんなに素晴らしい品種同士でも、一方が咲き終わった後にもう一方が咲き始めるようでは、受粉は行われません。

オリーブの開花は、一般的に5月下旬から6月上旬の約1週間から10日間程度と非常に短いです。そのため、この短い期間に両方の花が満開になるような組み合わせを選ぶ必要があります。一般的に「早咲き」「中咲き」「遅咲き」という分類がありますが、基本的には同じグループ、あるいは隣接するグループのものを選びます。

例えば、人気のある「ルッカ」は開花期間が比較的長いため、多くの品種と受粉のタイミングが合いやすいと言われています。苗木を購入する際は、開花時期の目安を確認し、できるだけ重なる期間が長いペアを作るように意識しましょう。

受粉を助けるための配置と工夫

オリーブの花粉は非常に細かく、風に乗って飛びます。そのため、風通しの良い場所に置くことが受粉を助けることになります。自宅のベランダなどで風が遮られやすい場所であれば、開花期に木を軽く揺らしてあげたり、手で枝を振ったりすることで、花粉の飛散を促すことができます。

また、配置の順番も意識してみましょう。風上側に花粉が多い品種を置くことで、風下にあるもう一方の木に効率よく花粉を届けることができます。都市部で周囲を建物に囲まれている場合は、特に風の動きを意識したレイアウトが実を結ぶ可能性を高めます。

また、雨が長く続くと花粉が流されてしまい、受粉率が下がることがあります。開花期に長雨が予想される場合は、軒下などの雨が当たらない場所に一時的に移動させるのも、収穫量を増やすための細やかな工夫と言えるでしょう。

授粉樹としての定番品種「ネバディロ・ブランコ」

オリーブ栽培の世界で、最強の「授粉樹(じゅふんじゅ)」として知られているのが、スペイン原産の「ネバディロ・ブランコ」です。この品種は花数が非常に多く、花粉の生産能力が極めて高いため、他の品種の実付きを良くするためのパートナーとして最適です。

ネバディロ・ブランコ自身もオイル用として使える兼用種ですが、どちらかというと他の木に実をつけさせるサポート役としての評価が高いのが特徴です。成長が非常に早く、樹形が暴れやすい面もありますが、剪定でコントロールすれば自宅でも十分に管理可能です。

もし、メインで育てたいオイル用品種(例えばフラントイオやコラティーナなど)が決まっているなら、その横にネバディロ・ブランコを1本添えてみてください。それだけで、秋の収穫量が劇的に変わるはずです。受粉の相性に迷ったら、まずはこの品種を候補に入れることをおすすめします。

受粉の相性おすすめペア例
・アルベキーナ + フラントイオ(初心者向き、どちらもオイル用)
・フラントイオ + ルッカ(高品質なオイルが期待できる定番ペア)
・コラティーナ + ネバディロ・ブランコ(収穫量を最大化したい場合)

収穫から自家製オイルを搾るまでの具体的なステップ

丁寧に育てたオリーブの実が色づき始めたら、いよいよ待ちに待った収穫と搾油の時期です。オリーブオイル作りは、収穫から搾油までのスピードが命と言われています。収穫したその日のうちに搾るのが理想的で、これこそが自宅栽培でしか味わえない贅沢です。

ここでは、オイルを搾るための最適な収穫時期の見極め方から、自宅でもできる簡易的なオイル抽出の方法、そして貴重な搾りたてオイルの保存方法までを解説します。最後まで気を抜かずに作業して、最高の一滴を手に入れましょう。

オイル用としての最適な収穫時期の見極め

オリーブの実は、秋が深まるにつれて緑色から赤紫、そして完熟すると黒色へと変化していきます。オイルを作る場合、どのタイミングで収穫するかによって、オイルの量と風味が大きく変わります。

一般的に、まだ少し緑色が残る「カラーチェンジ(色づき始め)」の時期に収穫すると、ポリフェノールが豊富で、若草のような香りと辛みが強いオイルになります。一方で、完全に黒く熟してから収穫すると、含油率が最大になり、マイルドで甘みのあるオイルが搾れます。

自家製で初めて搾るなら、実全体の半分以上が紫から黒になった頃がおすすめです。この時期はオイルの蓄積量が多く、初心者でも比較的容易にオイルを分離させることができます。一粒食べてみて、渋みの中に油分を感じるようになったら、それが収穫のサインです。

収穫した実の鮮度を保つためのポイント

オリーブは収穫した瞬間から酸化が始まります。特にオイル用の実は傷がつくとそこから急激に品質が劣化し、香りが損なわれてしまいます。そのため、収穫は一粒ずつ手摘みするか、木の下にネットを敷いて優しく揺らして落とすようにします。

収穫した実は、通気性の良いカゴに入れ、できるだけ涼しい場所に保管してください。ビニール袋に入れて放置すると、蒸れて発酵が始まってしまい、オイルに不快な臭いがついてしまいます。収穫作業は天気の良い日に行い、湿気を避けることも重要です。

最高のオイルを目指すなら、「収穫から24時間以内に搾る」ことを目標にしましょう。自宅であれば、朝収穫して昼過ぎから作業を始めることが可能です。この鮮度管理こそが、市販の高級オイルを超える「一番搾り」を作るための最大の条件となります。

自宅でできる簡易的なオイル抽出方法

本格的な搾油機がなくても、自宅にある道具を使ってオイルを搾ることは可能です。まず、収穫した実をきれいに水洗いし、ゴミや葉を取り除きます。次に、フードプロセッサーやミキサーを使って、種ごと(または種を抜いて)実をペースト状に粉砕します。

このペーストをボウルに入れ、40度以下のぬるま湯を少量加えながら、ヘラなどで30分から1時間ほどじっくりと練り合わせます。この工程を「ニーディング(練り合わせ)」と呼び、小さな油の粒を集めて大きくする重要な作業です。その後、布袋やキッチンペーパーを使って、水分と固形分を力いっぱい絞り出します。

絞り出した液体を瓶などの細長い容器に入れて数時間放置すると、上にオイル、下に水分が分離してきます。浮いてきた黄金色のオイルをスポイトやレードルで丁寧にすくい取れば、自家製オリーブオイルの完成です。時間はかかりますが、このプロセスそのものが楽しい手仕事になります。

搾りたてオイルの保存方法と楽しみ方

苦労して搾り出したオイルは、非常にデリケートです。搾りたてのフレッシュな香りを長持ちさせるためには、光と熱、そして空気を遮断することが鉄則です。保存容器は、光を通さない遮光瓶が最適ですが、透明な瓶しか無い場合はアルミホイルで巻いて遮光しましょう。

保存場所は、15度前後の涼しくて暗い場所が理想的です。冷蔵庫に入れるとオイルが固まってしまうことがありますが、品質に問題はありません。ただし、出し入れによる温度変化は酸化を早めるため、冷暗所での常温保存が最も風味が安定します。

完成したオイルは、まずはそのままパンにつけたり、冷奴やバニラアイスに垂らしたりして、そのフレッシュな香りをダイレクトに味わってみてください。自家製オイルには微細な果肉が残っていることが多いため、市販品よりも傷みが早いです。贅沢にたっぷり使い、1ヶ月程度で使い切るのが一番美味しい楽しみ方です。

自宅で楽しむオリーブ オイル用品種の育て方まとめ

まとめ
まとめ

自宅でオリーブ オイル用の品種を育て、自分だけの一滴を搾ることは、植物を育てる喜びと、食の豊かさを同時に味わえる素晴らしい体験です。まずは、アルベキーナやルッカといった、自宅での栽培環境に適し、オイルの質にも定評のある品種を選ぶことから始めてみましょう。

栽培の成功には、以下のポイントが大切です。

・オイル含有率の高い「オイル専用種」や「兼用種」を選ぶ

・受粉を助けるために、相性の良い異なる2品種を並べて育てる

・日当たりと水はけの良い環境を整え、定期的な剪定を行う

・収穫は実の色づきを見極め、鮮度が高いうちに搾油する

オリーブは樹齢が長く、大切に育てれば一生の付き合いになる木です。最初は小さな苗木でも、数年後にはたくさんの実をつけ、あなたの食卓を豊かに彩ってくれることでしょう。季節の移ろいを感じながら、ぜひ自宅でのオリーブオイル作りに挑戦してみてください。その最初の一滴を味わったとき、これまでにない感動が待っているはずです。

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